「お茶は水分補給にならない」— 熱中症のニュースが増える季節、必ずどこかで流れてくる話です。カフェインの利尿作用で、飲んだ分より出ていくのだと。
先に答えを言うと、これはほぼ嘘です。麦茶はもちろん、緑茶や紅茶も、研究では水とほぼ同じように体に残ります。根拠と、ひとつだけある正直な注意点を整理しました。
まずは要点
- 「お茶は利尿作用でむしろ脱水」はほぼ嘘 — 紅茶を1日4〜6杯飲んでも水分指標は水と差がありませんでした。
- 麦茶・そば茶・ハーブティーはカフェインゼロ。水と同じ満点の水分です。
- 覚えるのは順序だけ — 緑茶 < 紅茶 < コーヒー。ふだんの紅茶なら、カフェインはコーヒーの半分ほどです(玉露だけは別格なので後述します)。
「水分補給にならない」説を検証すると
この説の根拠はカフェインの利尿作用です。ロジックはコーヒーの俗説と同じで、結末も同じ — 毎日飲む人は数日で利尿作用に耐性がつき、カップに入っている水分のほうがずっと多い。カフェイン最強のコーヒーですらそうなので(詳しくはコーヒーの記事へ)、その何分の一しかないお茶なら、なおさらです。
お茶そのものを試した研究もあります。健康な男性が紅茶を1日4〜6杯(1杯240ml)、同量の水と飲み比べたクロスオーバー試験(Ruxton & Hart、2011)では、血液・尿の水分指標に差はありませんでした。ミルク入りの紅茶だったにもかかわらず、です。測るたびに負けている説、というのが正直なところです。
お茶のカフェイン、数字より順序で覚える
細かい数字を暗記する必要はありません。麦茶ゼロ → 緑茶 → 紅茶 → コーヒー、この順序ひとつで十分です。湯のみ1杯のせん茶なら、コーヒーの3分の1程度しかありません。
| お茶 | カフェイン(100mlあたり) | 水分カウント | メモ |
|---|---|---|---|
| 麦茶 | ゼロ | 満点 | 原料が大麦なのでカフェインとは無縁。家族全員の夏の定番です。 |
| そば茶・ルイボス・ハーブティー | ゼロ | 満点 | 茶葉を使わないお茶はノンカフェイン。夜でも安心です。 |
| せん茶・ほうじ茶・ウーロン茶 | 約20mg | カウント可 | コーヒーの3分の1ほど。午後のコーヒー代わりに向いています。 |
| 紅茶 | 約30mg | カウント可 | コーヒーの半分。ミルクを入れても水分は水分です。 |
| コーヒー(比較用) | 約60mg | カウント可 | カフェイン感覚の基準点として。 |
麦茶は水分補給の優等生です
夏、外から帰って冷蔵庫を開けると麦茶のポットが待っている — あの光景は、仕組みとしてほぼ完成形だと思います。カフェインゼロ、カロリーゼロ、子どもからお年寄りまで同じポットでいい。夏の水分補給の答えが、昔から台所にあったわけです。ひとつだけ補足すると、大汗の日は水分と一緒に塩分も抜けます。食事の味噌汁が案外いい仕事をしてくれます。
真水がどうも進まない人こそ、お茶を道具にしてください。1日の目標量は体重から計算して、そのうち2〜3杯をお茶に置き換える。WOOMOOLでは緑茶も紅茶もそのまま記録できるので、急須の分が「ならない」扱いで消えることはありません。水そのものを飲みやすくする工夫は別の記事にまとめました。
よくある質問
- 麦茶だけで水分補給しても大丈夫ですか?
- はい。カフェインもカロリーもゼロなので、水と同じように量の心配なく数えられます。大汗をかいた日だけは、食事などで塩分も一緒に補ってください。
- 緑茶を水代わりにしてもいいですか?
- ふだんから飲む人なら、水分としてはほぼ水代わりになります。気にするのは水分ではなくカフェインの合計 — 夕方以降は麦茶やハーブティーに切り替えると、睡眠に響きません。
- 玉露や抹茶はどうですか?
- 水分としてはカウントできます。ただし玉露は例外的にカフェインが濃いお茶なので、「お茶だから軽い」という感覚は当てはまりません。杯数を重ねたい日は、せん茶か麦茶が無難です。
