牛乳読了 約4分

牛乳は水分補給になる? — 水より「長持ち」した研究の話

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銭湯上がりに腰に手を当てて飲む牛乳 — あの一杯、実は理にかなっていました。水分補給の研究で、牛乳は水より「長く体に残る」飲み物だったんです。

「水より上」と聞くと誇張を疑いたくなりますよね。私たちも元の論文を開くまでは半信半疑でした。数字は本物です。ただし「長く残る」と「水より優れている」は別の話 — その線引きまで含めて、正直に整理します。

まずは要点

  • 13種類の飲み物を比べた研究で、牛乳は水より体に長く残りました。普通牛乳も無脂肪牛乳もです。
  • 理由は特別な成分ではなく速度 — 電解質・たんぱく質・脂肪が胃の通過をゆっくりにするからです。
  • それでも水の代わりにはなりません。1杯ごとにカロリーがついてきて、乳糖が合わない体質もあるからです。

水より長く残った — BHI研究が測ったもの

2016年、研究チームが水・牛乳・コーヒー・スポーツドリンク・ビールまで13種類の飲み物の水分保持力を直接比較しました。参加者72人がそれぞれ割り当てられた飲み物を1リットル飲み、その後4時間の尿量を測定しました。水を1.0とする「飲料水分指数(BHI)」に直すと、普通牛乳は1.50、無脂肪牛乳は1.58。水をはっきり上回ったのは、この2つと経口補水液(1.54)だけでした。

数字の意味を正確に言うと、飲んで2時間後に体に残っている水分が水の約1.5倍だった、ということです。同じ研究でコーヒー・紅茶・コーラ・炭酸水は水と差がなく — 炭酸水の記事で紹介したのと同じ試験です — スポーツドリンクも水と変わりませんでした。

なぜ長く残るのか — 鍵は胃の通過速度

牛乳に魔法の成分があるわけではありません。ナトリウム・カリウムなどの電解質、たんぱく質、少しの脂肪が混ざっていると、胃は中身をゆっくり送り出します。空きっ腹の水はすぐ吸収されて、余った分は同じ速さで尿になる。牛乳は消化という手順を挟むぶん、同じ水分が体に長くとどまるわけです。

経口補水液が牛乳と並んだのも同じ原理です — 電解質と少量の糖が水を引き留めてくれる。逆にスポーツドリンクが水と変わらなかったのは、この研究の隠れた見どころだと思います。詳しくはスポーツドリンクの記事へ。

飲み物水分の残りやすさ(BHI)カロリー(200ml)一緒についてくるもの
1.0 — 基準0なし。だから基本形です。
普通牛乳1.50 — 水より長く残る約120〜130kcalたんぱく質・カルシウム・脂肪、そして乳糖。
低脂肪・無脂肪牛乳1.58 — 研究は無脂肪で測定約70〜90kcal脂肪が減るだけで、たんぱく質・カルシウムはそのまま。
BHIはMaughanら(2016)より。数字が大きいほど2時間後に体に残る水分が多い、という意味です — 「優れた飲み物」ランキングではありません。

牛乳の使いどころ — 水の代わりではなく、水の隣に

牛乳が水の枠に入れない理由は2つ。まずカロリー — コップ1杯(200ml)で約120〜130kcal。水のつもりで飲むと、静かに食事1回分が上乗せされます。もうひとつは乳糖 — 牛乳でお腹がゴロゴロする体質なら、水分補給どころか下痢で水分を失うことさえあります。

いっぽうで、牛乳が本領を発揮する場面も2つあります。ひとつは子ども — 水分と栄養を一度に運ぶ基本の飲み物で、子どもの水分の記事に詳しくまとめました。もうひとつは運動後です。汗の損失の150%を飲ませた実験では、低脂肪乳を飲んだグループだけが回復の5時間ずっと水分バランスを保ち、水とスポーツドリンクのグループは1時間でマイナスに戻りました。部活帰りの一本に牛乳が選ばれてきたのは、感覚として正しかったわけです。

WOOMOOLに牛乳のカップを用意してあるのも、この理由からです。記録してみると、牛乳が1日の水分のどこを支えているかがよく見えます。

よくある質問

牛乳は1日の水分量にカウントしていいですか?
水分としては数えて大丈夫です。ただし水のような「無制限枠」ではなく、1日1〜2杯の定位置を与えるイメージで。総量は体重ベースの目安で決めて、牛乳はその中の一部に置くのがすっきりします。
コーヒー牛乳や乳飲料も同じですか?
水分にはなりますが、牛乳の栄養に砂糖がかなり上乗せされた形です。毎日の水分補給というより、ときどきの楽しみの枠に。銭湯上がりの一本なら、それはもう味わいの領域です。
経口補水液と牛乳、どちらがいいですか?
役割が違います。発熱・下痢・大量の発汗で失った水分と電解質を素早く戻すのは経口補水液の仕事。日常や運動後の一杯なら牛乳で十分なことが多いです。体調が悪いときの選択は、自己判断より受診が先です。